さくらいふ

28歳女ひとり、インドと日本の狭間で

スラムで医療キャンプ

ナマステ!


ブログのデザイン変えて、カテゴリー分けしたの気付いてくれてありがとうございます!

何ならブログ名も変えた。

さて、今回は私が活動しているスラムコミュニティで、子ども達向けに医療キャンプを開催したおはなし。

 

医療キャンプとは何?と思った方もいると思うが、医者を呼んで地域住民や学校の生徒など、集団で健康診断を受けてもらうイベントのことだ。

 

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当日のようす


私がこのスラムで活動し始めたのは、雨季真っ最中の6月。
毎日毎日雨が降り続ける、体感湿度200パーセントのムンバイで、ただでさえ衛生環境が悪く、水道がないスラムの子供達は、ひどいあせもの子がとても多かった。

 

最底辺の貧困の中に暮らす家庭で、子どもたちはあせもくらいでは病院へ連れて行ってもらったり、薬を買ってもらえない。
そんな状況を見て、医療キャンプをしよう!と決めたのは7月頃。


しかし、色々準備などうまくいかずにやっと実現できたのが今。

無料で診察をしてくれる医師を探して、政府の病院やNGOのオフィスを何度も訪ねてヒンディー語で交渉をしたり。

同じスラムで活動している医療系のNGOが協力してくれることになり、子ども一人10ルピー(16円ほど)で診察と基本的な薬の処方をしてもらうことに。

子ども50人の診察を計画し、日本円にすると約800円。

あせも防止のベビーパウダーなども全員に配りたくて、その費用もプラスしてクラウドファンディングで募ろうと決めた。

しかし、目前に迫る日程の中で、クラファン運営側の基準を満たした掲載内容にすることができず、途中で断念。
クラウドファンディングを今後利用する際に、今回の学びを活かそう。

ベビーパウダーは諦め、800円は自分が出しました。安くて良かった....

場所の都合により、NGOの診察所に子ども達を連れていく形で行われる運びとなった。
私が活動する教育系NGOで学んでいる50人の子ども達を、親同伴で連れ出すのはなかなか大変だった。

スラム街の親は、「子どもの健康診断だから来てね」と言って簡単に来ない。

子どもが熱を出したり、皮膚病になっても「たいしたことない」とほっておく親も多いし、病院に行くのに交通費を惜しむくらいの経済レベルなのだ。

 

「無料で健康診断が受けられる。薬が必要であれば無料でもらえる。あと石鹸(NGOが配布している)も無料でもらえるよ」と前日から家々を周り、当日も家を訪問して連れ出す。

NGOのスタッフの協力のおかげで、3日間に渡って無事、50人の子ども達に健康診断を受けさせることができた。


もちろん何の問題もなかった子どもも多いが、皮膚の感染症、カゼ、捻挫、貧血、犬に噛まれた、など色々な症状が明らかになった。

犬に噛まれた子は、私が付き添って公立病院へ連れて行き狂犬病の事後ワクチンを打たせた。しかしあと3回病院へ行って打ってもらわなければいけない。

今日が2回目だったのに、親は連れて行っていなかった。
「まあ大丈夫でしょう」と言ってた。

こうゆうことが普通にある。
経済的貧しさはもちろんだけど、子どもの数が多くて、ひとりひとりの健康など気にしている余裕がない、もしくは見て見ぬふり、という状態。

私が今回一度だけ医療キャンプを行ったことで、子ども達が健康になるわけじゃない。
親の意識もそう変わらないだろう。

 

でも、健康診断を受けに来た子ども達はみんな少し誇らしげで嬉しそうだった。
きっと、普段ちょっとやそっとのことじゃ病院など連れてってもらないからだろう、と思うと、かなしかった。

かなしかったけど、嬉しかった。

子ども達には、自分たちが大切にされるべき存在であることを感じてほしい。

医療キャンプが終わった後、いつも一緒に活動してる寡黙なNGOのスタッフが、
「今日お前はすごくいい仕事をした。」と言ってくれて、泣きそうになった。